-研究概要-


2.ペルオキシソームの形成およびその障害による病態発症の分子機構

B.ペルオキシソーム病

 Zellweger症候群(脳・肝・腎症候群)は,新生児期より筋緊張低下,顔貌異常,肝腫大,精神運動発達遅延など多発奇形を有する症候群で,乳児期早期にほとんど死亡する重篤な常染色体劣性遺伝疾患である。 臨床生化学的異常として,プラスマローゲンの著減,極長鎖脂肪酸やピペコール酸の上昇,胆汁酸中間代謝産物の蓄積等が認められる。 患者細胞ではペルオキシソーム酵素の生合成は正常であるが,輸送異常のため形態学的にペルオキシソームが観察されない(図2)。


図2.Zellweger症候群患者とペルオキシソーム形成障害
ペルオキシソームマーカータンパク質であるカタラーゼに対する抗体による免疫蛍光抗体染色.(a) 正常人線維芽細胞,(b) Zellweger症候群患者由来線維芽細胞.スケール(白線), 20 μm.
正常細胞では多数のペルオキソームの顆粒状構造が観察されるが,患児細胞ではペルオキシソームは認められない.

Zellweger症候群と類似した疾患として,新生児型副腎白質ジストロフィー(neonatal adrenoleukodystrophy: NALD),乳児型Refsum病(infantile Refsum disease: IRD),斑状軟骨形成不全症II型(rhizomeric chondrodysplasia punctate: RCDP)があるが,いずれもZellweger症候群に比して症状は軽度で患者の寿命も長い。 これまでにヒトペルオキシソーム形成異常症では14種の相補性群が報告されている(表2)。 そのほか,伴性型副腎白質ジストロフィー(X-linked ALD)や原発性高シュウ酸尿症I型など,いわゆるペルオキシソーム酵素(タンパク質)単独欠損症も多く知られている。


表2. ペルオキシソーム形成異常相補性群と相補遺伝子
ZS, Zellweger 症候群; NALD, 新生児型副腎白質ジストロフィー; IRD, 乳児型 Refsum 病; RCDP, 斑状軟骨形成不全症 II 型; PMP, ペルオキシソーム膜タンパク質; TPR, tetratricopeptide repeat.

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  1. はじめに
  2. ぺルオキシソームの形成とその障害による病態発症の分子機構
    1. ペルオキシソームとは…
    2. ペルオキシソーム病
    3. ペルオキシソーム欠損性動物変異細胞の分離
    4. ヒトペルオキシソーム形成異常症の全相補性群病因遺伝子の解明
    5. PEXタンパク質(peroxin)の機能
    6. エーテル型リン脂質プラスマローゲンの生合成
    7. ペルオキシソーム欠損による障害と病態発症
  3. テイルアンカー型タンパク質の輸送と品質管理

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